絵本好きです。
ここ諏訪ノ平には私設の絵本美術館がいくつかあるし、
岡谷には武井武雄の美術館があって、ここ年間パスもってます。
ここには小さいころ読んだ絵本の原画も豆本もあるし、人は少なく、田舎なのに
19じまで開いていてオススメです★
ところで、、
ぼくのだいすきなお話がなんと、えほんになってました。
まったくしらんかった―
んで、さっそく求めました。
うーん、ちょっと絵本ではむずかしいかも。。。
「ひまなこなべ」はアイヌ民族のカムイ ユカラのひとつです。
カムイユカラとは神さまが自ら物語りするお話です。
ハルニレの木の神さまだったり、フクロウの神さま、トゲネズミの神さまなど
いろんな神さまが語ったりします。
ユカラのほかに、ウェペケレという昔ばなしもあります。
文字を持たなかった民族 アイヌは、ユカラやウェペケレの口述の物語を
代々語り継いできました。
このような物語が口承だけで受け継がれてきたことが驚異的だし
物語の根底にながれる考え方や発想に深く共感してきました。
北海道で学生~社会人と暮らした自分にとって、いきいきとその風土を感じるだけでなく
入植が進む北海道になる前の、おそらく縄文からつづいてきただろう神が身近で
一緒に暮らしてきた頃からの豊かで深い文化に思いを巡らすのです。
ユカラもウェペケレもアイヌ(人間)として生きる上での道徳や矜持が
身近にくらす動植物(カムイ/神)との関わりを通じて語られています。
謡われているんだけれど、説教じみたかんじはなく、愉しくて美しい。
それにたまにバカウケしてしまうようなネンゲン的なお話も多いです。
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「ひまなこなべ」の文はアイヌの萱野茂さんがまとめた本に収められています。
(萱野さん訳の絵本はたくさん出ていて、どいかやさん画以外のひまなこなべもある)
萱野さんはアイヌ語の口述の物語だったユカラやウェペケレを古老から聞き取って
日本語に翻訳して文章にして遺してくれた人の一人です。
失われていく言葉や文化を残そうと力を尽くした萱野さんの言葉は、テレビやラジオ
でしか聞いたことがありませんが、穏やかな言葉と強い信念に満ちた表情はわすれる
ことができません。
たまに通っていた日高の平取町というところでアイヌ資料館の館長をされていたので
いつか絶対会いに行きたい、、なんて勝手に思っていましたが、それは叶いませんでした。
カムイユカラとウェペケレの訳は萱野さん以外にも知里幸恵、山本多助 氏 ほかで
たくさん本になっています。そちらもとてもおすすめです。
絵本よりもまず本で読んだり、読み聞かせの方がたくさん想像できて
愉しいかもしれません。
子どもも大人もぜひ読んでほしい。。
もうアイヌ語でかたることができる人は殆どいないと思います。
こうして文字にしてくれなかったら永遠に失われたわけだけど、
アイヌにとって言葉で謡い語り継ぐことができなくなることの痛みについては
想像もできない。
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おしまいに、
工房名の「チセ」はアイヌ語で「お家」。
段ぶきの、いっけん粗末だけど温かいチセ、よくかよった山「チセヌプリ」・・・
アイヌへの敬愛の想いをこめて頂戴しました。
見た目のかっこよさももちろん大事だけど。
触れてみて 温かみがある
使ってみて 使いやすい
そういうものを作っていきたいです。